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ナチュラル花壇12のポイント

ナチュラル花壇12のポイント

ナチュラルミックス植栽を作るコツがここにあります!

【花壇職人がこっそり教える】

ナチュラル花壇12のポイント

 

はじめに

美しい花壇を作り、一年間を通して管理していくには、案外時間とお金が掛かります。ポールズガーデンがご提案するナチュラル花壇は、植物の特性を活かし、これを楽に長く楽しんでもらいたいという想いから、その作り方を【ローコスト&ローメンテナンス】をコンセプトにこれからご紹介していきます。この小冊子を活用して、今までと違ったプロの見方をとおして、より楽しいガーデンライフを送っていただくお助け本となれば幸いです。(この本(冊子)は、日本海に面しているため南国九州でありながら、冬は大雪に見舞われることは少ないものの東京などと比べても寒く、夏は平均並みに暑い福岡県の気候をベースに編纂しています)

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【コンセプト】

 キーワードは【ローコスト&ローメンテナンス】

 

花をきらさずにリラックスできる空間でありながら、お世話の時間は少し短く、しかもお金も沢山かからずに維持できる。そんなお庭が、私たちの提唱するポールズガーデン流のナチュラル花壇です。そのためには何から始めたら良いのでしょうか?私たちは、植物の選択にポイントがあると思っています。ショップで何をどこに植えようかと悩むのもガーデニングの楽しみの一つですし、良い株を選ぶ事も大切です。ただし、花壇の骨格を作る植物と季節の変化を感じさせてくれる肉付けとなる植物の配分のバランスは、もっと重要です。 素敵な花壇はここが上手に行われているのです。

植物の配置や分量のバランスが良いと、年間のトータルの作業量と植替えコストをかなり抑えることができます。なぜなら植物はどれも成長の差はあれ大きくなります。その過程で花が咲き実がなるわけですが、花壇の大きさにあった屋台骨になる植物と、いずれ大きく育つもの、時期になると沢山咲くものなどを立体的に組み合わせていると、花の切れないバランスの良い花壇が出来るのです。ベースをしっかり作れば、2年目以降はかなり草丈も伸びてきて、剪定が必要になるくらいに立派な花壇ができます。そこからは、あまり手間もお金もかからないナチュラル花壇として楽しめます。

また、正しい土つくりをして、植えた苗にしっかり育ってもらうこともポイントの一つです。折角思い悩んで購入した苗が育たないと残念ですし、考えて植えたものがひとつひとつ育つことで、バランスのとれた美しい花壇になるでしょう。

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育った植物の良さを損なわないために、病害虫の対策が必要になる場合もあります。伸びすぎてしまってどうしようと思い悩むこともあるでしょう。以降の章では、基本的な考え方をまとめていますので、問題解決に導くためのヒントになると思います。

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【理想の土のコンディション】

 良い土でないと花壇での植物は育たない

 

 農家の皆さんがせっせと植え込み前に土の手入れをしているのと、ガーデニングにおいての下地つくりとは同じです。良い土とは、水分と栄養をしっかり蓄えることが出来て、根に空気を送れる状態を指します。そのためには、ちょっと難しい言葉ですが、団粒化(ダンリュウカ)していることが欠かせません。大きさの違う粒子の塊を混ぜ込んであげることで水と空気(酸素)がよく通り、根の成長と働きを活発にします。そこに堆肥などの有機質があれば、言うことはありません。田んぼのような泥んこの状態では、新しい酸素を送り込むことが難しいのです。

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また、土の酸度によって生育の影響を受ける植物があります。典型的なものは、アジサイが時間が経つと買ったときと同じ色で咲かなくなることなどで知られる、酸性、アルカリ性の問題です。

 一般的に、植物が長く同じ土地で生育していると、土壌が酸化してきます。そのためには、アルカリ成分の高い石灰などを使って中和します。しかし、よく育っているナチュラル花壇に消石灰(ショウセッカイ)は刺激が強すぎて植物を傷めてしまいますので、ここでは苦土石灰(クドセッカイ)や有機石灰などを散布するとよいでしょう。特に酸性にかたより過ぎると、病害虫が発生しやすくなります。

酸度の偏りを測るにはph計(ペーハーケイ)を使います。ホームセンター等で簡単に入手できますので、一度確認してみましょう。 一般的にはphが6.0~6.8くらいの範囲であれば問題ないと思いますが、中性を好む植物が多い日本の花壇の場合は、この範囲に収まるようにアルカリ資材や酸性資材を使って土壌改良をします。

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また、植物によってはツツジやブルーベリーなど酸性を好む植物もあります。その場合は、植え込むときに成分調整されていないピートモスや鹿沼土(カヌマツチ)を根鉢まわりに追加して花壇に植え込みます。そうすると、葉数が増えて花も咲きやすくなります。

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【植物の種類とバランス】

 植物の比率は一年草、宿根草(シュッコンソウ)、低木が1:1:1の割合がおすすめ

 

一年草は沢山花を咲かせ、花期も長いものが多く、花壇を明るくしてくれます。しかしながら一年で寿命を終えるため、花を楽しむのは長くて半年ほどです。それ以降は植え替えをしなくてはなりません。それに対して宿根草は毎年咲いてくれますが、花の時期が一年草より短いものが多く、冬場に葉が残るものと地上部が枯れるものの2種類があります。

 低木も、花が咲くことを楽しむものと葉の様子を楽しむものとがあり、冬に落葉するものと常緑のものに分類できます。花壇では常緑と落葉の割合が2:1くらいが、冬場の落葉したときに全体がさみしくならなくておすすめです。

 他にも球根類、地面を這うように伸びる地被植物などを上手に組み合わせることによって、一年中緑や花を楽しむことが出来て、なおかつ入れ替える苗を少なくすることが出来ます。

 *冬環境の違いは地域によってかなり異なりますので、積雪量が少なく冬もパンジーなどが咲いている地域の例として捉えていただければと思います。

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【植物の色について】

自然界の9割の花色は白、しかし、、、。

 

 お店で取り扱う園芸品種は、毎年沢山の改良された新品種が顔を揃え、興味を喚起します。ピンクを最大の筆頭に赤、黄、青、紫、オレンジ、また最近では黒や渋みの強い色など、皆さんもご存知の通り色とりどりの花が出荷されています。

 また、葉の色もカラーリーフとして沢山増えてきました。緑の葉に白いラインが鮮やかな斑入り(フイリ)植物をはじめ、黄色が鮮やかな黄金葉、葉の表面のテクスチャにも特徴的なものが多い白系の銀葉、個性的な茶色が覆う銅葉、他にも南国ムードの赤やシックな紫など、こちらもバリエーションが豊富です。

これらの色の組み合わせによって花壇が華やかになったり、シックな大人のテイストに変わったり、またシンプルな組み合わせをすることによって、特定の品種が引き立つように見せることも可能です。

どんな仕上がりにするかは花色から考えても良いですし、葉の特徴から組み合わせても面白いですね。カラーリーフを例に考えて見ましょう。

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写真の大きな部分を占めているのは黄色の葉のコニファーでライムグリーンの葉もあります。一年中葉が黄色ですので、ベースカラーが黄色です。ここにブルー・パープルなどの寒色系の花が咲く植物を追加すれば、涼しげな演出が出来ます。その逆で、同じベースにオレンジ・イエローなどの暖色系の花苗を追加することで、温かみのある花壇に変化させることも可能です。こういう風に、花の色の組み合わせだけでなく全体の色を考慮して追加する苗を変えることも、簡単に雰囲気を変える要素になります。

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【植物のグルーピング】

 植物の特徴を見極めて

 

 花壇は、日当たりの良いところ、風の強いところ、軒下で夜露のあたらないところや湧き水の多い土地など、その環境は様々です。

 植物は根を張って育つ以上自由に動けるわけではないですので、できるだけ原産地の環境に似た状況を作ってあげることが上手に育てるポイントといえます。寒いところで育っていたのか、もしくは熱帯のジャングルだったのか、乾燥地帯なのか。それにより地植えが可能かどうかや、水やりの回数などが決まってきます。

水の好きなグループと乾き気味が好きなグループを一緒に植えると、どちらかのグループが水やりの状況に応じて対応できずに枯れてしまいます。つまり、組み合わせによっては育たない苗があるということです

光に関しても同じです。日向を好むもの、半日陰が好きなものなど好む光の強さも違いがありますので、植えようとする場所に合わせたグループのものを集める必要があります。

幸い、日本には半日陰が好きという植物が多くあり、昨今の住宅事情による北側の玄関まわりなどのコンディションにも耐えられるどころか、そこで活躍する植物もたくさんあります。ここまで読んでいただくと、一年草の園芸品種だけが花壇に適しているという訳でなく、結構沢山の選択肢があることにお気付き頂けると思います。

自分のこれから植えようとする所はどんな場所なのかをよく考えて、その環境にあった植物をセレクトしてグループをつくってあげましょう。花壇の場所が横広になったり、植栽スペースが複数にわたる場合は、テーマを決め、そのグループに属する植物を集めると、まとまりのある花壇になります。

持ち合わせの鉢や資材のテイストがバラバラである時は、このグルーピングの考え方が役に立ちます。似た素材と相性の良い植物たちを近くに集め、グループとして捉えると、まとまらなかったアイデアが集約しやすくなります。

 グループ間の境目は、グランドカバーの植物を植えたり、ウッドチップやカラーの砂利などでゆるく仕切るのも良いでしょう。

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 【植物のフォルムから配置を考える】

  点・線・面の要素の組み合わせを大切に

 

 花壇がボリュームよく成長してお互いの植物が引き立って見えるためには、あまり聞いたことのない話かもしれませんが、点、線、面の要素を意識して配置することが大切です。植物のフォルムを理解して分類してみましょう。花壇全体を見渡して、その一つがサイズ的に小さなものであれば点と捉えます。ちらっと見える小花などがこれにあたります。アマリリスやユリなど比較的大きな花であっても、広いスペースでは全体の中で点となる場合もあるでしょう。

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 点の連続である線の要素は、流れを作り動きを出してくれます。主にはイネ科の細葉や草丈の長い茎が当てはまります。広いスペースでは、ジキタリスやグラジオラスも線の要素となります。

 線と線に囲まれると面になります。面はどっしりとした安定感を与えてくれます。特に下方にこういった安定感のある植物をもってくると、バランスの良い配置になります。

好きな植物だけを沢山植えるのもそれはそれで楽しいのですが、を構成する要素のものだけでは動きが出にくくなり、単調に感じられます。ナチュラルな感じを出すには点や線の要素を加えることによって軽さや動きが加わり、自然を切り取ったように変わってきます。

 ここで、仮組合わせの仕方を説明しましょう。まずは主体になる面の要素をもつものを配置しましょう。どっしりした安定するものは後から追加しにくいものですので、サイズ的にも大きなもの、ここからスタートしましょう。それから流れを演出する線の要素のもの、そして最後に彩り、トッピング的要素である点の要素のものを足していきます。仮組合わせの中で足りない要素は何かを考えて追加していくと、楽に組み合わせの修正ができます。植えるまえに、まずは置いてみましょう。

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 【植栽の基本形と植え方】

  植える位置は三角形に、根の取り扱いは大切に

 

 先ほどの仮組合わせによっておおまかな配置が決まりました。これから植えていくのですが、直線的に並べては畑の畝のようになってしまい、自然な動きが出にくくなってしまいますね。

 それぞれの苗が三角形を形成するように植えていくと、育ってからもお互いが美しく見えます。また、三角形の辺の長さを変えながら不等辺三角形を折りまぜるように意識すると、育った時によりきれいでしょう。いずれ大株になる宿根草の近くに一年草を植えると、次の入替時には成長して追加の苗が減らせるかもしれません。

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 また、ポットから苗を抜いたとき、良い苗ほど白くきれいな根がびっしり巻いていると思いますが、この処置に悩むことはありませんか?植え付けに適した春秋であれば、下の方で巻き付いた根はほぐした方が定植後よく伸びます。ベストの時期を逃してしまった場合は、植物の種類にもよりますが、ほぐさない方が無難です。ほぐす量は経験を積むことが大事ですが、底の方だけでとどめ、側面まで崩さなければ大失敗はしません。まずは良い季節にほぐすことからトライしてみましょう。

 実際に植え込むときは、根鉢よりすこし大きめに穴を掘って根鉢を置いて土をかけていきますが、そのときも根の取り扱いには注意してください。普段光にあたっていないところですので、すばやく植えて、出来るだけ早く水をかけて土と根が密着するようにしたいのです。土をかけた後、密着するように棒ですき込んだり、沢山の水を流し込む等、方法は苗の大きさ等で様々にありますが、必要なことは土との密着です。ここに植えると決めたら手際よく進めましょう。

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灌水 水やりのポイント】

    水やりはいつやるのが良いのか

 

 植物は朝のうちに吸い上げた水分と二酸化炭素を使って光合成をし、酸素を排出して栄養を蓄えます。理想は朝の10時くらいまでに終えたいものですが、忙しい現代生活で夜しかあげられないという場合もあるでしょう。その場合は心配いりません。人間と同じで、夜型生活でもそれでリズムが取れれば問題ないのです。植物も同じで適応してきます。

 『水が足りなくて元気がないけどやっていいのかな?』この問いにはほとんどの場合はすぐに水やりしてください、と答えます。しかしながら、真夏の日中と真冬の夜半前は避けたほうが無難です。蒸れてしまったり、凍ってしまったりして傷むおそれがあるからです。また、根腐れするか心配でたっぷり上げないのは逆効果です。花壇では鉢植えと違いますからたくさんあげてください。

『雨が降ったので水やりしないでよい』会話の中でよく聞きます。パラパラと降った程度では、表面を流れるだけで多くは土の奥深くまでは行き渡っていません。実際に土を少し掘ってみると湿っているのは表面から2~3センチまで、などはよくあることですので、少しの雨ではしっかりあげたほうが良いです。

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また、タイマーなどで自動に散水する自動灌水装置で水やりの設定をする場合があります。これは季節の温度変化に応じて設定を変える必要があります(年間を通して一定では植物にとって良くないからです)。

 そのための回数の目安は、平均気温が25度以上になると毎日、15~25度の場合は一日おき、15度以下の場合は週に1~2回としています。たっぷり行き渡る量が目安ですが、これも植物の状態を見ながら、バルブの開放時間(灌水量)を調整します。

 屋上緑化などの場合は、土の量が少なく照り返しがきついなど、植物にとって突発的に厳しくなる環境が想像されます。こういったところでは、普段から少し水分が足りないかなと思うくらいに厳しく育てたほうが、ストレスに強い枯れにくい苗になりますので、少な目の灌水でも環境によってはちょうど良いということもあります。甘いトマトをつくるために水を絞る名人芸と同じ原理ですね。

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【肥料について】

    こやしを効かせたいところはどこか?

 まずはしっかり光合成して栄養を作るためにを茂らせ、子孫繁栄、次の世代へバトンタッチするための花、実、更なる成長に向けしっかりしたが全体を支え、水分養分を吸収すると、どれも順調に育ってくれればよい苗になります。

 そのためには肥料の成分の配合をチェックしましょう。主に葉に効く窒素(以降Nとします) 、花を咲かせ実を成らすリン酸(以降Pとします)、根茎を太く丈夫にするカリウム(以降Kとします)、そのほか栄養の吸収を高めるカルシウム(Ca)、マグネシウム(Mg)を5大栄養素として、ほかに微小要素を取り入れることでより健全に育ちます。

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 それでは、入手するときに5大栄養素の内の最初の3つ、N:P:Kの配合をチェックしましょう。同じ数字が並んだ8:8:8や10:10:10、たまに16:16:16などの表示を印刷したパッケージも見かけるかもしれません。これはバランスよく入っているので、ビギナーからベテランの方まで安心して使って頂けると思います。

 ただし、植物側から見ると、葉を茂らせたい時、花芽が出てきた時、それから休眠前などで必要な要素は違いますし、前回の施肥がどのタイミングでいつ切れたのかの判断が必要になってきます。

植物からもサインが発せられていますので、よく観察していくことが重要です。

 即効性のある液肥、長く効き目の持続する緩効性(カンコウセイ)肥料の玉肥、自然由来の遅効性(チコウセイ)肥料の有機肥料、これらをステージに合わせ適度に使い分けるのが、肥料過多にならず、上手に咲かせるコツです。

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 土づくりの段階で多めに有機肥料である堆肥を入れます。あとで説明するマルチングにも堆肥を使います。根の張り出し時期がはっきりしない植えた直後は、玉肥で継続的に栄養を補充します。

 ピーク時になり、水分、栄養ともに吸収する時期には、液肥を観察しながら適量使うと効果にメリハリのついた花壇になります。また、活動を休止している冬場には即効性のものは必要なく、有機肥料や玉肥はなじんでから効果が出るのに時間がかかりますから、時期を逆算して補充すると良いでしょう。また、肥料過多は次の章にある病害虫を発生させやすくするので、適量を与えることが大切です。

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【病害虫について】

  対策のキーはいずれの場合も早期発見、早期治療 

 

 害虫の種類は大きく分けて2種類あり、葉を食べるものと樹液などの汁を吸うもの、また病気の多くはカビに由来にするものとそれ以外のもの、また虫の排泄物を原因とするものの大きく3つに分けられます。

 悪い患部を除去して、虫には殺虫剤、カビには殺菌剤を散布したり根から吸わせたりします。農薬の効果を少ない回数で最大限に活かすには、タイミングが重要です。

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 虫に関して、たとえばツバキにはチャドクガという虫がつきやすく、発生しやすい時期は芽だし直後の頃だというのがはっきりしていることがあります。これは毎年お付き合いするタイプの虫です。

 それに対して、ある虫が今年は多く発生していて植物が被害に合うというケースがあります。これには食物連鎖が関係しており、この虫のえさ虫が増えた、天敵の虫が少なかったなどの理由で大量発生します。ただし大量発生した後はえさが不足する等が原因で、この傾向は長く続きません。よってまた別の虫が優勢になり、被害をうける植物も年々変化していきます。いつもと違う植物で被害が多くなったら、【植物の名前と害虫】などで検索すると画像がでてくることが多いので、虫を特定して農薬をお求めください。

ここでちょっとしたアドバイスですが、ほとんどの虫はゴキブリ駆除のスプレー薬で駆除できます。早期に発見して処置を少なくすませる場合は、30センチくらい離してスプレー剤をかけるのも一手です。

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これ以外にも色々な症状がありますので、酷い場合はプロに相談するのもよいでしょう。

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【マルチングについて】

  マルチングの効果はマルチ効果

 

土の上に何かを被せ、カバーすることをマルチングといいます。

これが実は沢山のメリットを生んでくれます。

  1. 乾燥を防ぎ、水分を保つ。
  2. 温度の上昇、低下を緩やかにし地中温度を一定に保とうとする。
  3. 雑草の種が土表面に着きにくくすることで、雑草の発芽率を抑制する。
  4. 自然素材であれば分解の過程で土中に栄養を供給し、良質な菌の住処になる。
  5. 植物の葉の色などに対してコントラストが効いて、見た目がきれいに映える。

 などなど、一つだけでなくマルチに効果をもたらせてくれます。

 マルチング材料は木材を粉砕したウッドチップ、これをさらに小さくし発酵させてより分解の進んだ完熟堆肥、腐葉土等がありますが、何でも良いというのが私たちの持論です。

 そう遠くない昔、日本の庭園ではきれいに掃除を終わらせた後マルチングに松の葉をまいていましたし、ケヤキの葉は買って集めるほどマルチに適しているといわれました。私たちはその後の有機分補充のことも考えて、バーク堆肥(樹皮堆肥)を主に使っています。

 

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【年間の管理について】

  晩秋の管理が実は全体の中でもキーポイント

 

 四季のある日本では、温度によって成長期とそうでない時期とに分けて管理をすることがポイントになります。育つ時期にしっかり活躍を、耐える時期には次の成長期に向けて準備をすることが肝要です。いつも伸び放題では、花壇枠のサイズに対してきれいなバランスを保てません。

 一年かけて花壇全体で、徐々に伸びたものは冬場を迎える前の(昨今は秋が短いですのでベストタイミングが難しいのですが)春苗の入れ替えをするときに、高くなりすぎた低木類や枯れ落ちない宿根草を適切な位置まで切戻して、全体のバランスを整えましょう。

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 何年もかけて育て切り戻しを繰り返してきたけれど、全体に大きくなってきてどれを目安にしていいか分からなくなってきたときは、一つポイントがあります。花壇の奥行きが一番あるところの長さを測ります(これをDとします)。Dの1~1.5倍くらいを目処に、植物の一番大きなもののトップを切り戻します。すると翌シーズンはトップの大きさは奥行きDの1.5~2倍程度のサイズに収まり、全体のバランスが良い状態を保てるようになります。

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 上記の内容をやってみて、それでも収まらないくらい大きくなったら、晩秋に大きくなりすぎたその植物だけを掘り上げて別の場所に移し、残った他の植物で花壇を再構築していくのも楽しいのではないでしょうか。花壇も5~6年くらいまでは足し算で、それ以降は引き算で考えていくと、いつまでも楽しむことができます。

 花壇サイズから割り出した美しいバランスを是非頭に入れながら楽しんでください。またマルチングを追加したり、寒肥(かんぴ)という栄養補給をして、冬場も春を待つ準備を楽しみながら作業をしてみては如何でしょうか。

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